心臓術後死「事故調で評価を」　専門家論評、学会誌に公開

　国立国際医療研究センター病院（東京都新宿区）で一昨年に行われた心臓手術後の死亡例が、専門家の論文で「医療事故」と指摘された問題で、論文に対する別の専門家の論評が、日本心臓血管外科学会誌のウェブ版で公開された。論評では、「医療事故調査委員会での評価が欠かせない」としている。

　論評は、同学会名誉会長の上田裕一・名古屋大名誉教授が執筆した。

　問題の手術は、東京都内の７０歳代の男性が受けた「低侵襲心臓手術（ＭＩＣＳ）」。右胸に開けた小さな切り口から 胸腔（きょうくう） 鏡や器具を入れる手法で、胸の中央を大きく切り開く従来の手術に比べ体の負担が少ないとされている。

　男性は手術中に心筋 梗塞（こうそく） を起こし、転院先で約２か月後に死亡した。解剖の結果などから、手術中のトラブルが原因となった可能性が指摘されている。論評の中で上田氏は、ＭＩＣＳは従来の手術よりリスクが高まる可能性があると指摘し、「医師は患者に正確な情報を伝え、適切な術式を選択できるよう支援しなければならない」と述べた。

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