がん拠点病院＜３＞高齢患者の心身　客観評価

男性は退院後も月２回ほど、抗がん剤治療で通院を続けている（福岡県で）

　福岡県に住む男性（８０）は２０２２年９月、福岡市の国立病院機構九州がんセンターに大腸がんの治療で入院すると、すぐに体力測定のようなテストを受けた。

　診察室の端から端まで歩く。腕を組んで椅子から立ったり座ったりする。左右の足を前後に並べて立つ。筋力やバランス能力を測るとともに、認知機能や心理状態も調べられた。担当した医師の西嶋智洋さんからは「評価結果は、適切な治療法の選択に役立てる」と説明された。

　がんは手術、放射線治療、抗がん剤が３大療法だが、いずれも患者の体に負担がかかる。６５歳以上の高齢者ががん患者の７割以上を占めるが、人によっては体力が落ちており、重い副作用などが出やすく、治療を中断しかねない。一方で、負担の少ない治療法だと、不十分な効果しか得られない恐れもある。

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