［医療ルネサンス］シリーズ薬　ドラッグロス＜４＞日本での開発　海外に「営業」

山本さんは、日本での開発を依頼したい薬を絞って、新興企業を訪問している

　国立がん研究センター中央病院副院長の山本昇さんは年数回、渡米する。同病院は、新しい治験を積極的に導入し、日本のがん治療を先導してきた。渡米は、新興バイオ企業を訪ね、日本での医薬品開発を呼びかける「営業」が目的だ。

　きっかけは６年前に参加した米国の新興企業の医薬品開発の会議だった。予想に反し、日本での計画はなかった。２０２０年末時点で、欧米で承認されたが日本で未承認のがん治療薬（４１品目）のうち、５４％を新興企業が手がけていたという民間の調査もある。多くは米国が拠点だ。

　海外での承認薬が日本で未承認のままとなる「ドラッグロス」は、製薬大手だけでなく、米国の新興企業も要因になっていると山本さんは実感した。ただ、国内に新興企業の事業所はほとんどない。「待っていても薬は日本に来ない。海外まで行って、日本での開発をお願いしてみよう」と思い立った。

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