睡眠薬の治験が失敗に終わるワケとは…寝る時間を規則的にするだけで効果が出てしまう

　こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。

　最近、精神疾患の新しい治療薬（向精神薬）の開発が苦戦しています。新薬の効果を検証する臨床試験（治験）が失敗に終わることが多いためです。失敗の大きな原因の一つがプラセボ効果です。今回は薬のプラセボ効果とその逆の現象であるノセボ効果について解説します。

　皆さんはプラセボ効果とノセボ効果をご存じでしょうか。プラセボ効果は有名ですね。偽薬（ニセ薬）でも実薬だと信じて服用すると、一定の治療効果が出る現象をプラセボ効果と呼びます。

　プラセボ効果は、抗がん剤や血圧降下剤、抗生物質などあらゆる新薬治験で認められます。血圧降下剤の新薬治験を例に取ると、患者さんには分からないように、新薬候補（実薬）も偽薬も見た目が同じ錠剤やカプセルになっているため（盲検化と呼びます）、偽薬の場合でも「効くかもしれない」という期待感から患者さんの血圧が低下します。新薬として承認されるには、実薬の降圧効果が偽薬のそれを十分に上回ることが求められます。

　逆に偽薬でも副作用

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