［柳澤秀夫さん］肺がん（４）定年を前に「あさイチ」出演を引き受けた理由…お茶の間では「ヤナギ―」の愛称

　「ならぬことはならぬ」。故郷の福島・会津に伝わる教えが染みついている。安易に周囲に同調せず、時には超然と異を唱える。２０１０年３月に始まり、初代キャスターを務めたＮＨＫ生活情報番組「あさイチ」では、一徹な姿勢が信頼され、「ヤナギー」の愛称でお茶の間に親しまれた。

　「がんになっていなかったら、あさイチに出会っていなかったと思います」

　出演を打診された時は、断るつもりでいた。カンボジア内戦や湾岸戦争の取材を重ね、中東担当の解説委員を務めていた。報道畑しか歩いていない。

　だが、ふと立ち止まって考えた。肺がんを患い、ニュースキャスターをはずれて２年になる。定年を前に「やったことのないことをやってみるのもいい」。引き受けることにした。

　実際、「あさイチ」は未知の世界だった。テーマは社会問題から衣食住、娯楽まで多岐にわたる。女性の悩みや病気にスポットを当てることも多かった。

　キャスターには、タレントの井ノ原快彦さんと、アナウンサーの有働由美子さんも起用され、デリケートな問題も自分事として切り込んでいく。

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