がんだけじゃない　心不全の人に対する「緩和ケア」とは？…ケア開始イコール治療中止ではない

　がん患者を中心に進められてきた「緩和ケア」が近年、心不全の患者にも広がっています。心臓の働きが悪くなる心不全は、経過を見通すのが難しく、容体が急変するリスクがあります。在宅での療養では、そうした事態も見据え、患者と家族、医療者が最期をどう迎えるか話し合っておくことが大切です。（江村泰山）

　心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、十分な血液を全身に送り出せなくなる病気の総称で、患者は約１３０万人といわれています。呼吸困難などを伴う急性期と、息切れや疲労感がある安定期を繰り返し、数年で回復が困難な終末期に至る場合があります。

　病気による心身の苦痛を和らげ、生活の質（ＱＯＬ）の向上を目指す緩和ケアは、２０世紀後半、終末期のがん患者に痛み止めの医療用麻薬を用いることから始まりました。世界保健機関（ＷＨＯ）は２００２年、緩和ケアの対象を「生命を脅かす病に直面した患者と家族」と幅広くとらえ、心理的・社会的なつらさも和らげるケアと位置づけました。

　終末期の心不全患者に行う緩和ケアも１８年に公的医療保険の対象に加えられるなど国内でも取り組みが進んでいます。一方で、真星病院（神戸市）副院長の大石醒悟さんは「緩和ケ

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