［医療ルネサンス］着床前診断＜４＞承認される病気　欧米と差

　「家族性大腸腺腫症（ＦＡＰ）」の患者会などが主催し、今年９月、着床前診断をテーマにしたセミナーが東京都内で開かれた。ＦＡＰは、国内では着床前診断の実施が認められたケースはないが、英国などでは対象となっており、国内外で大きな差がある。

自身の将来や子どもたちへの遺伝を心配する女性。着床前診断の申請を検討している（神奈川県内で）

　「３人目を産むことを考えていたので参加した。国内外の現状が詳しく分かって前向きな気持ちになれた」。神奈川県在住の会社員女性（３１）は語る。自身も患者の一人で、父親をこの病気で亡くしている。

　ＦＡＰは大腸に１００個以上のポリープができることが多い。遺伝子の変化が原因で生じ、治療しないと４０歳代で５０％、６０歳代ではほぼ１００％の人ががんになる。腹痛や下血、下痢などが出ることもあるが、無症状の人も多い。このため、がんになる前に、大腸を全て切除する予防的な治療が推奨されている。

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