［市川由紀乃さん］卵巣がん（２）抗がん剤投与　一気に脱毛

　昨年７月、６時間に及ぶ手術で、卵巣に加え、子宮、骨盤のリンパ節と腹膜の一部を切除した。

　意識が戻り、病室に移ったのは夕方。全身が熱く、強い痛みがある。痛み止めの注射や点滴を何度も頼み、夜はナースコールを握りしめて、ひたすら朝が来るのを待った。それまで手術も入院も経験したことがなく、約２週間の入院を終えた時は体重が５キロ減っていた。

　退院後、手術で取った組織の検査結果を聞きに行った。がんだった。そうではないのでは、という淡い期待は裏切られた。ただ、がんは初期で、卵巣の中にとどまっていた。

　再発防止のため、３週間に１度、抗がん剤を投与する治療が始まった。初回は点滴を入れ始めたとたん、苦しくてたまらなくなり、止めてもらった。

　吐き気止めなどの薬を服用したが、手足のしびれ、味覚障害が出た。「口の中が常にしょっぱいんです」。食欲もなくなった。しばらくすると、髪をとかしただけで、洗面台が真っ黒になる。「脱毛は一気にきます、という先生の言葉通りでした」

　長い黒髪を、思い切ってベリーショートにした。１メ

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