東日本大震災１２年　福島＜５＞巨大な喪失　ＰＴＳＤに

投稿日 2023年3月15日 05:00:00 （医療総合）

震災後よく歩いた海岸で、過ぎた日々を思う美加子さん（２月、南相馬市で）

　東日本大震災と福島第一原発事故。それをどう受け入れ、どう乗り越え、どう語り、後世に残すか。２０１１年以降、模索をつづけた福島県南相馬市の高橋美加子さん（７５）は、６年後、自分の言葉を見失った。

　美加子さんは、同市原町区などでクリーニング店を経営する。市は原発から北へ３０キロ圏外の鹿島区、圏内の原町区、２０キロ圏内の小高区に三分された。

　緊急時避難準備区域の原町区は、住むことはできる。中小零細企業で成り立つ町から企業が去れば、町が死ぬ。美加子さんは家族と離れ、一人、残った。４月から、県中小企業家同友会相双地区会長も務めた。

　若者たちの有志と「ありがとうから始めよう！　人間復興！　ふるさと再生」と書いた旗をつくり、町中の街頭に立てた。６００枚の注文が殺到した。けれども、人々

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