執行役員で定年退職　地域活動でエリート意識が嫌われ…適応には「年少組」の自覚を

あかださきこ

　企業で精神科の産業医をしていると、定年退職後の「第二の人生」にスムーズに移行するのは難しいものだと思う事例と多く出合います。所属する会社と仕事がなくなり、地域活動に参加しようとして、煙たがられた元執行役員の例を紹介します。

　大手企業の執行役員を最後に退職した上羽太郎さん（仮名、６６）は、会社を離れた「第二の人生」でも人と交わるのが大事だと自覚していました。専業主婦で地域に知り合いの多い妻に誘われて、取りあえず町内会イベントに参加して、会合にも顔を出しました。しかし、気軽な話し相手ができず、「また顔を出してください」という声もかかりません。

　「合わないのだろう」と考え、別のイベントなどに参加しても、うまく溶け込めず、しだいに外出するのがおっくうになり、家でパソコンを開いては動画を見ているようになりました。

　心配した妻に、「働いていたころはイキイキしていたのに、元気がなくて別人みたい。お付き合いのあったメンタルの先生のところに相談に行ったらどう」と勧められ、かつての職場の精神科系産業医

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