個人情報取り扱いに課題…歯の診療情報ＤＢ化

　大規模災害時に亡くなった人の迅速な身元確認につなげようと、厚生労働省が歯の診療情報を蓄積するデータベースの整備を始める。活用を見込むレセプト（診療報酬明細書）は、患者の治療内容などが記載されており、個人情報にあたる。実用化にはデータの取り扱いをめぐる課題をいかに解決するかがカギとなる。（医療部　原隆也）

　身元確認の方法には顔や着衣、所持品、指紋・掌紋、ＤＮＡなどがある。しかし、着衣や所持品は失われていることがあり、遺体の損傷が激しいと顔や指紋・掌紋での判定は難しくなる。ＤＮＡは精度が高いが、歯ブラシやくしなど本人が生前に使っていたものが必要になる。歯が有効な手がかりとなるのは、体の組織で最も硬く、熱にも強いため残りやすいという特徴があり、形状や治療痕は一人ひとり異なるからだ。

　日本歯科医師会によると歯を使った身元確認は、１９８５年の日航ジャンボ機墜落事故で注目された。海外では２００１年の米同時テロで遺体の約３５％、０４年のインドネシア・スマトラ島沖地震ではタイで約５６％が歯で特定されたという。

　全国的なデータベース整備の必要性が指摘されたのは、１１年の東日本大震災だった。警察庁によると、岩手、宮城、福島３県で身元が確認できた犠牲者

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