難治性の血液がん発症を予防、ｉＰＳ由来細胞を点滴投与する免疫療法を開発へ…国立感染研など

　国立感染症研究所などのチームは、難治性の血液がん・成人Ｔ細胞白血病（ＡＴＬ）などの発症を予防する免疫療法の開発に乗り出す。原因となるウイルスの感染者に、ｉＰＳ細胞（人工多能性幹細胞）由来の特殊な免疫細胞を投与し、感染した細胞を破壊させる。数年以内に治験を含めた人への臨床応用を目指す。（中村直人）

　ＡＴＬは、国内の推定感染者数が１００万人前後とされる「ヒトＴ細胞白血病ウイルス１型（ＨＴＬＶ―１）」の感染者のうち、５％程度が数十年もの潜伏期間を経て発症する。感染した細胞ががん化し、増殖するのが原因で年間約１０００人が亡くなっている。

　チームには東京大医科学研究所や京都大ｉＰＳ細胞研究所などが参画する。研究は、国立研究開発法人・日本医療研究開発機構（ＡＭＥＤ）の支援を受けて、今年度から３年間進める。

　新たに作製する免疫細胞は「 ＣＡＲ（カー） ―Ｔ細胞」。悪性リンパ腫などの治療法として開発された。手術、放射線、抗がん剤に続く「第４のがん治療法」として注目される免疫療法の一つに挙げられる。

　チームは、ＨＴＬＶ―１に感染した細胞の表面に現れるたんぱく質「ＣＡＤＭ１」に着目。ｉＰＳ細胞から分化させた細胞

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