梅毒の検査は高齢者にすべきか　「陽性」の結果が意味すること…２０２３年は感染者が過去最多

　性感染症の梅毒にかかる人が増えています。２０２３年は、現在の調査方法となった１９９９年以降、過去最多となりました。今回は、この梅毒について、恥を忍んで、若い頃の失敗談を披露したいと思います。　

　あるご高齢の患者さんがいらっしゃって、軽度の認知機能障害をお持ちでした。認知症だろうか。医師の間で、この患者さんについて議論があったときに、僕は「梅毒検査をすべきだ」と主張しました。

　梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌により感染し、主に性交渉でうつります。抗菌薬で治療できますが、放置していると合併症を発症しかねません。脳に病気を起こすことがあり、認知症のような症状が出ることもあります。認知症だと思っていたら神経梅毒（昔は脳梅毒とも言いました）だった、なんてこともあるのです。

　「内科の病気なのに、認知症に見える」ものがいくつかあります。例えば、ある種のビタミンが足りない状態とか、甲状腺ホルモンの異常とか……。こういう病気は、ビタミンを補充したり、甲状腺の病気の治療をしたりすれば認知機能は戻ってくるわけで、「見逃さないようにしましょう」と僕らは研修医のときに教わったのでした。

　梅毒もこの「

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