［市毛良枝さん］（下）１００歳で大往生した母の介護は足かけ１３年　同じ月に敬愛する登山家の田部井淳子さんも見送る

　俳優の市毛良枝さんは、登山を始めて３０年以上になります。登山家の田部井淳子さんと出会い、大きな影響を受けたそうです。５０代で母の介護が始まり、山からは足が遠のいてしまいましたが、思いは募ります。田部井さんとの出会い、介護体験から何を学んだのでしょうか。（聞き手・松本由佳、写真・中山博敬）

――登山家の田部井淳子さんとはどのように出会われたのですか。

　田部井淳子さんは女性として世界で初めてエベレスト、そして７大陸最高峰に登られた方です。山を始めて２年くらいして、仕事でお会いする機会がありました。初心者の私なんて足元にも及ばないのに、「どんな山も同じ。一歩一歩、足を運べば登れるのよ」「やりたいと思ったことはやればできるの。やりたいのにできない、と言っている人は本当にやりたいわけではないのよ」とおっしゃって。

　最初こそ、田部井さんは特別だと思っていましたが、家事もおろそかにしないし、ものすごいスピードでこなすんです。本当にやりたいことをやろうと思っているからできるんだと思いました。今だったらもう少し自由にできたかもしれないけど、当時は夫と子供を置いて出かけて行くことが批判される時代。そうや

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