［医療ルネサンス］がん患者と心臓＜２＞免疫治療で副作用の心筋炎

投稿日 2024年7月9日 05:00:00 （医療総合）

大倉さん（左）の診察を受ける女性。胸に少し違和感が残るが、日常生活に支障はない＝新潟県立がんセンター新潟病院提供

　２０２３年１２月のある朝、新潟県内の女性（６８）は、車を止めた地下駐車場の階段を上る途中で、息が切れた。しばらくして収まったが、数十分後、買い物を済ませて同じ階段を下りると、強い息切れと 動悸（どうき） を感じた。

　異変には心当たりがあった。皮膚がんの再発を防ぐため、同年６月から８回、免疫チェックポイント阻害薬の点滴治療を受けた。

　このタイプの薬は、がん細胞を攻撃する免疫力を保つ一方、重い副作用がおこることがある。その一つが心筋炎だ。日本の診療指針によると発症率は０・０９～２・４％と報告によってばらつきがある。死亡率は２５～５０％と極めて高い。

　女性の場合、同年１１月末、血液検査で、心不全の疑いを示す数値が上昇。９回目の治療

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