［正木ゆう子さん］大腸がん（４）食に制限があるのに、夕食時にワインや日本酒は楽しめる…自身が笑顔で語った理由

　大腸がんの手術後、腸 閉塞（へいそく） を繰り返さないために変えたことは、生活全般に及ぶ。早寝・早起きになり、早朝の散歩とラジオ体操が日課になった。

　自宅近くには、埼玉県営の大宮公園がある。公園を含めて、緑多い一帯は犬たちの格好の散歩コースだ。愛猫家だが、犬のかわいさにも気がついた。出会った犬の名を書きとめていたら、「顔見知り」は１３０匹以上になった。

　＜ 狼（おおかみ） の 裔（すえ） なる君と青き踏む＞。犬と共に春の青草を踏んで歩くという句。「猫は癒やし、犬は元気をくれるわね」

　外食も遠出もせず、規則正しい生活を繰り返す。我慢を強いられていると思われがちだが、「この生活がいいのよ。見えてくるものがある」と断言する。

　俳句が変わった、と自ら思う。「これまでは句を作るときに座りすぎていた」。自然や命と接しながら歩く日々から句が生まれる。

　手術の前後の作も収めた最新句集「 玉響（たまゆら） 」（春秋社）を、昨年９月に刊行した。玉響は、草の露の別名だ。読売文学賞と詩歌文学館賞を立て続けに受賞した。

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