がん転移抑制　新薬へ手がかり　東京薬科大などマウス実験

投稿日 2025年1月13日 05:00:00 （医療総合）

　血管で細胞の足場となる物質の働きを下げるとがんの転移が抑えられることを、東京薬科大学などの研究チームがマウスを使った実験で明らかにした。がんの転移を防ぐ新たな治療薬の開発につながると期待される。米科学誌「アイサイエンス」に論文を発表した。

　伊東史子准教授と大学院生の花田 賀子（かこ） さんらのチームは、細胞間で情報をやりとりする伝達物質「ＴＧＦ― β（ベータ） 」に着目した。この物質は、細胞の増殖や分化を調整して、初期のがんは抑制する一方、末期にはがんを悪性化させるなど複雑で多彩な機能を持つことが知られている。

　ＴＧＦ―βが血管で働かないように遺伝子を改変したマウスに、皮膚がんの細胞を移植すると、血管がもろくなり、がん細胞が血液中に漏れ出しやすくなっていた。だが、意外なことに肺への転移はあまり見られなかった。同じ量のがん細胞をしっぽの静脈に注射して比較すると、肺への転移は通常のマウスの４分の１程度に減っていた。

　原因を詳しく調べると、ＴＧＦ―βが働かないマウスでは、血管の内側で細胞を結びつける接着分子「ＣＤ４４」が

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