［医療ルネサンス］頭頸部がん＜２＞太ももの組織で頬を再建

投稿日 2025年1月29日 05:00:00 （医療総合）

太ももの組織を移植して左頬を再建した稲葉さん（静岡県沼津市で）

　「入れ歯の調子が悪いせいだと思っていた」。奥歯近くの腫れが１年ほど続いていた静岡県沼津市の稲葉敬子さん（７６）は２０１８年１月、思い切って市立病院の歯科 口腔（こうくう） 外科を受診した。外来の担当医に「自分でおかしいと思ったでしょう。もっと早く来てほしかった」と言われた。精密検査をすぐ受けるよう勧められ、１週間後に左頬粘膜のがんと診断された。

　近くの歯科医には以前に口内炎といわれ、納得していた。がんと診断され、腫れが少しずつ大きくなっていたことに改めて気づいた。それまで大きな病気をしたことがなく、両親もがんになったことはなかった。「自分ががんになると思っていなかったし、口の中にがんができた知り合いもいなかった」

　同年２月、県立静岡がんセンターで頬のがんと周辺のリンパ節を切除するとともに、頬の再建手術を受けた。口の中やのど、耳と鼻にできる「 頭頸部

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