ホームの飼い犬「文福」を襲った突然の病　首が傾いたままの後遺症にめげず、精いっぱい生きる姿に入居者は力もらう

　人間、高齢になってくると、突然思わぬ病気になることがあります。それまで元気だったのに、脳 梗塞(こうそく) や心筋梗塞で突然倒れてしまった、というような人は、皆さんの周りにもいることでしょう。それは犬についても同じなのだなと実感する出来事がありました。

　ペットと暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」で暮らす保護犬出身の 文福(ぶんぷく) が、「 前庭(ぜんてい) 疾患」という病気で突然、発作を起こしたのです。耳の一番奥の内耳の中にある前庭や三半規管という部位は平衡感覚をつかさどる部位で、脳の中枢神経とつながっています。この平衡感覚に関わる器官をまとめて前庭系と呼びますが、前庭疾患は、この前庭系のどこかに異常をきたし、体のバランスを保つための平衡感覚を失ってしまう病気なのです。高齢犬に多い病気です。

　平衡感覚を失うと体を真っすぐに保つことができなくなり、首が傾く「 斜頸(しゃけい) 」や、眼球が小刻みに揺れる「 眼振(がんしん) 」といった症状が表れたり、めまいが生じたりする場合もあります。発作のような激しい症状が突然起きることもあり、真っすぐ歩けなくなって倒れてしまい、起き上がれずにバタバタ転げまわったりします。めまいがひどいため、乗り物酔いの

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