死期が迫った肺がんの父　見舞いを拒む息子…最期まで看護師の手を握りしめていた男性が求めていたもの

　入院している患者さんの最期が迫っている時、家族に連絡しても会いに来ないという事例は少なくありません。事情はさまざまで、その是非を問うことはできません。今回は、日頃の看護の経験から私が感じたことをお伝えします。

漫画　男性が最期に求めたもの

　末期の肺がんを患う７０歳代の男性患者さんが入院していました。その方には息子さんがいましたが、見舞いに来たことはありません。息子さんからは「延命処置は望まず、自然に 看(み) 取ってほしい」と言われていました。

　患者さんは衰弱して眠っている時間が増え、意識がもうろうとしていきました。息子さんに「そろそろお別れが近いかもしれないから、電話に出られるようにしておいてほしい」と伝えると、「連絡は亡くなった後でいいし、夜中に亡くなったら朝に連絡してくれ」と言われました。

　「その時」は、私の夜勤中に訪れました。

　突然、患者さんが真っ青な顔をして廊下に出てきました。医療用麻薬を使っていたため、それまで「痛い」とも「苦しい」ともあまり言った

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