胃がん手術　ロボットの導入でより安全に　航空機、野球の投手との共通点は？…以前は「根性」で執刀

　日本人の２人に１人ががんを経験するといわれています。がん患者と向き合う医療者は、日常の診療の中で何を思い、感じているのでしょうか。国立がん研究センター東病院（千葉県柏市）の医師らが語ります。今回は、胃がんの手術を専門にしている胃外科長の木下敬弘さんです。

木下敬弘さん

　がん治療では今、ロボット手術が世界的に広がっています。ロボット手術と聞くと、ロボットが自動的に手術をする姿を思い浮かべるかもしれませんが、実際は、外科医が手術台から２～３メートル離れた場所にある操縦室のような場所から遠隔操作します。手術器械は人の手のように自由に曲げることができ、手の震えも制御されてブレがなくなるので、従来の手術と比べ、より正確な操作が可能です。

　ロボット手術の技術は当初、戦地で負傷した兵士を治療することを想定し、米国で初期開発が行われました。その技術は一般的な手術へ応用され、１９９９年には米国の会社から初期モデルが発売されました。２００１年、私はまだ発展途上だったロボット手術の可能性に興味を持ち、研究を目的にドイツ南部の大学に留学しました。あれから２０年余りが経過し、世界的な普及が達成され

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