［国立がん研究センター東病院　私のがん診療録］術後の痛み管理　安全と安心

麻酔科長　橋本学氏

　麻酔科医はがんセンターの中でもちょっと変わった存在です。がんを治療しません。手術の麻酔を担当し、治療をサポートします。

　麻酔とは、麻酔薬を用いて、患者さんを眠らせ、痛みをとり、手術中に体が動かないようにコントロールすることです。がんセンターでは大きな手術が行われていますが、出血量が多くなる手術や、特殊な呼吸管理が必要になる手術もしばしばあります。状態に応じた点滴の量の調節、特別な薬剤の使用、場合によっては輸血が必要になります。

　手術の部位によっては、通常とは違った呼吸管理を行います。肺や食道の手術では、左右ある肺のうち、片側の肺のみで呼吸をさせる分離肺換気という呼吸管理を行います。このような管理をスムーズにすることで、患者さんの生命を守ります。また、術者が手術に集中できる環境を整えることも麻酔科医の大切な仕事です。

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