薬の進歩で抗がん剤の副作用も楽に　がんが治らない患者に伝えることとは

　日本人の２人に１人ががんを経験するといわれています。がん患者と向き合う医療者は、日常の診療の中で何を思い、感じているのでしょうか。国立がん研究センター東病院（千葉県柏市）の医師らが語ります。今回は、抗がん剤の副作用対策に取り組む総合内科長の内藤陽一さんです。

内藤陽一さん

　今から３０年以上前、学生だった私はがん治療について学んでいました。

　早期のがんは手術で治す。進行すれば、手術・抗がん剤・放射線を組み合わせて、できる限りの治療を尽くす。しかし、最も進行したステージ４のがん患者さんには手術は行われず、抗がん剤だけが選ばれます。

　「ステージ４こそ、最も強力な治療が必要なのではないのか？」

　抗がん剤の専門家になり、理解しました。ステージ４のがん治療は「がんを治す」ことではなく、「がんとともに生きる」ことなのだと。

　がんを治したい。それは、すべての患者さん、そしてご家族に共通する願いです。「治らない」と告げられ、それでも奇跡を求め、あら

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