［国立がん研究センター東病院　私のがん診療録］薬選択や再発予測にも貢献

病理・臨床検査科長　石井源一郎氏

　病理・臨床検査科は、患者さんと直接会う機会は少ないものの、診断の確定や治療方針の決定に欠かせない役割を担っています。

　手術や検査で採取された病変の組織から、スライドガラスを使って標本を作製し、顕微鏡で１枚ずつ丹念に調べて、がんの種類や広がりを見極めます。こうした作業は手術中にも行われます。「迅速診断」と呼ばれる方法では、採取した組織をすぐに調べ、数十分以内に外科医へ結果を伝えます。その情報は、切除範囲を広げるか、リンパ節を追加で取るかなど、その場での手術方針に直結します。

　さらに近年は、免疫反応を利用し、特定の物質を染色する免疫染色や遺伝子解析の進歩によって、病理診断は、薬の選択や再発リスクの予測にも大きく貢献するようになりました。これらの過程で、病理診断医と病理技師が密接に連携し、精度の高い情報を届けています。

続きを読む