［医療ルネサンス］シリーズ薬　ドラッグロス＜３＞将来の「ロス」拡大懸念

韓国の医師と新薬の開発状況などを情報交換する岩田さん（左）（今年５月、ベルリンで行われた乳がんの国際学会で）＝岩田さん提供

　「えっ？　この薬、日本では聞かないけど、こんなにいい成績が出ている」――。

　昨年５月、ベルリンで開催された乳がんの国際学会で、名古屋市立大臨床研究戦略部特任教授の岩田広治さんは、目を見張った。

　会場では、「ゲダトリシブ」という新薬候補について、米国を中心に行われた初期段階の臨床試験結果が報告されていた。「ホルモン陽性・ ＨＥＲ２（ハーツー） 陰性」という日本でも多いタイプの乳がんで、転移再発した患者の７４％でがんが縮小。他の治療薬が効かなくなった患者でも５６％でがんが縮小し、効果が続いている期間も従来の治療に比べ２倍近く延びたという。

　もちろん、最終段階の臨床試験の結果が出ないと、承認されるかは分からない。その試

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