［医療ルネサンス］衆院選　政策に期待する＜７＞認知症　理解する社会作り

　誰もが認知症になり得ることを前提に安心して暮らせる社会を目指し、今年１月に認知症基本法が施行された。国や自治体に具体的施策が求められる中、認知症診療はこの１年で大きな転換点を迎えた。

　脳内の異常なたんぱく質を取り除き、アルツハイマー病の進行を抑える効果がある治療薬「レカネマブ」が昨年１２月から医療現場で使われ、同種の薬の「ドナネマブ」が年内にも新たな治療の選択肢に加わる見通しだ。

　二つの薬の対象は、認知症の前段階にあたる軽度認知障害（ＭＣＩ）を含むアルツハイマー病の早期患者。レカネマブに関する国の指針は、治療を開始できる医療機関の条件として、認知症の診療経験が１０年以上ある専門医が複数在籍することや、磁気共鳴画像装置（ＭＲＩ）の検査が院内で可能なことなどを挙げる。

　地方ではこれらの条件を満たす医療機関は限られ、通院に長時間かかるケースもある。東京都健康長寿医療センター副院長の岩田淳さんは「コストはかかるだろうが、地域格差を是正するのが政治の役割だ」と注文を付ける。

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