「産みの苦しみ」我慢が美徳？　無痛分娩の普及率低い日本

痛みのストレスの影響は胎児にも

　「産みの苦しみ」という言葉がある。この言葉通り、女性が分娩の際に経験する痛みは、他の様々な痛みよりもはるかに強い。産みの苦しみによるストレスは、妊婦のみならず胎児にも多大な生理的影響をもたらすことから、何らかの処置を必要とすることは言うをまたない。例えば、不安や恐怖から妊婦が呼吸をし過ぎると、血管が収縮して胎児に「低酸素血症」が生じるのである。

　分娩は三つの時期に分けられる。初産婦で１０～１２時間、経産婦でも４～６時間もかかる第１期（開口期：陣痛発来から子宮口が全開大するまで）には、子宮の下部が伸びることで 間歇(かんけつ) 的な痛みを生じる。

　第２期（娩出期：胎児の娩出まで）になると、子宮が収縮する回数が増えることで痛みはさらに強くなり、 腟(ちつ) 、会陰部の痛みも加わる。胎児が娩出される頃になると痛みは持続的なものとなり、会陰部の痛みと圧迫感は最高に達する。この第２期が初産婦で２時間以上、経産婦で１時間以上続く場合が分娩の遷延であり、胎児仮死の危険性が高くなる。

　第３期（後産期）には胎盤が排出されるが、以後も会陰部の痛みが続く。

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