高次脳機能障害になった男性　半生を演劇通じて小中学生に紹介…ユーモアも織り交ぜ、巡回公演

子どもたちと交流する黒田さん（左から２人目）と役者ら（東京都世田谷区で）

　障害がある人の半生を演劇にし、理解を深めてもらおうと、公共劇場「世田谷パブリックシアター」（東京）が小中学生向けに巡回公演している。日々の喜びや悩みをユーモアを交えて伝えることで障害者を身近に感じられるよう工夫がなされている。都内の公演を訪ねた。（石井千絵）

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　「行ってみたい、でも行けるのかな……。何としても行かなくちゃ！」

　障害者役の役者が声を張り上げる。演じられているのは東京都世田谷区内に住む高次脳機能障害の黒田真史さん（４６）の日常だ。

　黒田さんは発語が不自由だが、劇中で役者は、思いをセリフで表現する。この場面は、障害を負ってから初めて遠方の旅行に挑戦した日を再現。支援団体の助けを得て、介護タクシーで空港まで行き、空港専用の車椅子に乗り換える姿を表現した。

　黒田さんは１８歳の時に交通事故で脳の右半分を損傷した。移動には電動車椅子を用いている。動かせる右手親指でスマートフォンを操作し、画面に文字を表示して意思を伝

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