「漂流ポスト」絶やさない　３・１１犠牲者への手紙１０００通超…管理人の男性　寺へバトン

　東日本大震災の犠牲者に宛てた手紙を受け付ける「漂流ポスト」が、岩手県陸前高田市にある。管理人の男性は母の介護のために閉鎖を考えたが、能登半島地震で肉親を失った人たちを見て、「ポストが果たす役割はまだある」と思い直した。今春、同市内の寺がポストを引き継ぎ、被災者の思いに寄り添い続ける。（盛岡支局　広瀬航太郎）

漂流ポストに届いた手紙に目を通す赤川さん（左）と古山さん（岩手県陸前高田市の慈恩寺で）

　ポストは同市の赤川勇治さん（７４）が２０１４年に設置した。つらい気持ちを言い出せずにいる被災者の姿を見て、「亡き家族や友人に手紙を書いて、心穏やかになってほしい」と願った。「行くあてのない手紙が流れ着く場所」との意味を込めて「漂流ポスト３・１１」と名付け、広田半島の先端でカフェを経営しながら管理してきた。

　「夢でもいいから会いたいよ」「ずーっと思っているからね」――。これまでに届いた手紙は１０００通超にのぼる。

　宮城県南三陸町で消防士の夫・武敏さん（当時５６歳）を津波で亡くした仙台市の佐藤せつ子さん（６８）は、ポストを心のよりどころにしている

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