［血液がん］移植治療でかゆみやこわばり、息苦しさ　新たな分子標的薬がもたらすメリットは？…白血病の２０歳代男性「日常を取り戻せた」

　血液がんなどの治療で行われる造血幹細胞移植には、移植後に起こる合併症「慢性移植片対宿主病（慢性ＧＶＨＤ）」に苦しむ患者が多いという課題がありました。近年、新たな予防法や治療薬が登場したことで、これまで治療手段がなかった患者の症状も改善できるようになってきました。（鈴木希）

　造血幹細胞は赤血球や白血球、血小板に分化する、血液の元となる細胞です。年間約１万４０００人が診断される白血病や、リンパ腫などの血液がんでは、全身への放射線照射や抗がん剤治療でがん細胞を死滅させますが、骨髄にある造血幹細胞も失われます。

　造血幹細胞移植は、正常な細胞を点滴で移植し、造血能力再生を目指す治療です。自分の細胞を「自家移植」する場合、拒絶反応などは通常起きません。

　ドナー（提供者）の造血幹細胞を使う「同種移植」では、造血能力の再生に加え、ドナー由来の白血球ががん細胞を攻撃する効果も期待されます。ただ、白血球が患者の体を「異物」として攻撃することで、ＧＶＨＤが起きます。

　これを防ぐため、同種移植は白血球の型「ＨＬＡ」がドナーと患者で完全に一致する場合に主に行われてきました。

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