２億５千万人感染の「顧みられない熱帯病」住血吸虫症、幼虫の発育抑制のカギは「熱帯魚の餌」

　約２億５０００万人が感染しているとされる熱帯病「 住血吸虫（じゅうけつきゅうちゅう） 症」を引き起こす寄生虫の発育の抑制に、熱帯魚の餌などに使われる光合成生物が効果的なことを、日本文理大（大分市）の熊谷貴准教授（寄生虫学）らの研究チームが発見した。中間宿主の巻き貝から排出される幼虫の数を大幅に抑える一方、貝には無害といい、熊谷准教授は「寄生虫のみを抑制する安全な対策になる可能性がある」としている。（大山楓子）

住血吸虫の幼虫＝熊谷准教授提供

　住血吸虫症は日本では撲滅されたとされるが、アフリカや東南アジアなどを中心に 蔓延（まんえん） 。世界保健機関が指定する「顧みられない熱帯病」の一つで、肝臓や腸の血管の炎症を引き起こし、重篤な合併症に陥ることもある。感染源となる貝の駆除に効果的な農薬はあるが、他の生物も殺してしまうため、ほとんど使われていないという。

世界保健機関（ＷＨＯ）のシンボルマーク＝ＡＰ

　熊谷准教授は２０２１年、普段と違う餌を貝に与えた際、住血吸虫の幼虫の排出が少なくなったことに

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